INTERVIEW

代表インタビュー

INTERVIE 01

ポスコグループが日本と関わりを持った最初のきっかけについて教えてください

ポスコグループの日本との関わりは1970年に浦項製鉄所の建設と安定操業を支援するため、東京に連絡事務所を開設したことから始まりました。浦項製鉄所は韓国の産業発展の象徴的なプロジェクトであり、その一助としての役割を果たすことがこの事務所の始まりです。
当時、日本との連携強化と技術獲得を目的に、韓国の産業発展を支える基盤づくりの第一歩として重要な役割を果たし、これが、後のポスコグループの安定操業に大きく寄与するものとなりました。

代表インタビュー①

INTERVIE 02

その後、日本市場に進出した経緯について教えてください。

1988年に大阪にPIO(POSCO INTENATIONAL OSAKA)を設立し、日本市場への販売拠点を築き、ビジネス拡大に取り組みました。
日本市場は厳しい競争と高い品質要求が特徴であり、ポスコもその基準に応え、安定的に供給できるかが大きな課題でした。当時、日本市場への参入は、他の海外進出の試金石であり、日本の顧客の高い要求に応えることができれば、今後のグローバル展開にもつながると考えられていました。
信頼を築くのは容易ではありませんでしたが、ポスコの鉄鋼素材の品質がその信頼に応える力になると信じていました。
また、店売りを中心とした母材販売で日本の顧客目線に合わせた戦略を採り、長期的なパートナーシップを築く道を模索する中で、徹底的な市場分析と顧客ニーズへの対応を重視した結果、少しずつ信頼を築くことができました。

代表インタビュー②

INTERVIE 03

POSCO Japan PCを設立して、1994年から日本国内での加工物流事業を開始されたとのことですが、この取り組みの目的とその後の展開について教えてください。

POSCO Japan PCの前身は、1993年に設立された藤浦物流センターという物流基地でした。
その後、日本のお客様のニーズにより近づくため、1994年から九州を皮切りにスリッター、レベラーをはじめとする加工機能を兼ね備えた加工物流事業を開始しました。これにより、店売りだけでなく、エンドユーザー(ひも付き)市場にまで対応できる体制を築くことができました。
このPOSCO Japan PC設立は、日本市場での競争力と信頼性を向上させるための戦略的な決断でした。顧客にとって、海を越えた供給元よりも現地での安定した供給体制が重要です。加工センターは製品の加工や保管、物流のすべてを担い、現地顧客に安定供給を保証する役割を果たしています。
これにより多くの顧客からの厚い信頼を受ける事となり、単なる窓口商社としてではなく、一歩進んだビジネスパートナーとしての地位を確立することができました。結果として、既存の店売りに加え、実需要を満たす『ひも付き』ビジネスへと事業領域が広がり、長期的な関係構築の基盤が整いました。
その後、関東、中部にも拠点を拡大し、ポスコの日本におけるビジネスが量的・質的に大きく成長しました。

代表インタビュー③

INTERVIE 04

日本市場での成功には、どのような戦略や行動が重要だったとお考えですか?

当時、日本市場は『海外企業の墓』とも言われるほど参入が困難であり、特に自動車メーカーと信頼関係を築くのは簡単ではありませんでした。
日本市場での成功の鍵は、一貫した戦略と徹底的な実行力に尽きると思います。例えば、自動車鋼板市場においては、品質とコスト競争力の両面で優位性を確立するために、社内でのゼロベースの自己分析を行い、必要な改善を重ね、信頼関係の構築に努めたことが大きな成果に繋がったと考えています。
顧客の需要に応えられることが、私たちにとっての競争力となり、また日本市場における地位を高める鍵となりました。
長年にわたる継続的な取り組みと品質改善が実を結び、ポスコは日系顧客との戦略的パートナーシップを築くことができています。

代表インタビュー④

INTERVIE 05

今後のビジネス展望について、どのように取り組んでいく予定でしょうか?

地域社会と企業が共存共栄するための基盤を構築することが、未来に向けての当社の目標です。
近年、最も大きく体感する私たちを取り巻く経営環境の変化は「労働力の不足」と「厳しさを増す環境規制」です。
「労働力の不足」に対しては、まずQSS活動と呼ばれる革新活動をはじめとした職場環境改善を実行し、安全で標準化された職場環境を整備し、現場力の向上に注力することで、従業員が安心して働ける基盤を作ります。その上で次のステップとして、デジタルトランスフォーメーション(DX)や自動化を推進し、効率化と生産性向上を目指します。
また先進的な労使制度の導入を進め、働きやすい職場環境の構築にも力を入れてまいります。社員のワークライフバランスの向上を目指し、採用難に対応する柔軟な働き方の導入を進めています。
また「厳しさを増す環境規制」に対しては、太陽光エネルギーの活用を拡大し、余剰電力の再販売によるスモールビジネスの創出も検討しています。加えて、地域社会との共存を目指し、文化的な交流の促進にも力を入れています。具体的には、様々な地域ボランティア活動へ参加するほか、韓国との歴史的なつながりが深いとされる佐賀県加唐島や大阪府柏原市の公共施設に両国のつながりを象徴するモニュメントを寄贈するなど、文化的な理解と交流の一助を担います。
当社はこれらの取り組みを通じて今後も、日本市場における成長と同時に、持続可能な社会の構築にも貢献してまいります。

代表取締役社長 朴 昌煥